たいへんです(いや、別にたいへん違うけどな←どっちやねん.
質問を頂戴しました、「スイーツって何ですか?」と。
似通ったご相談が続く、ということがあります。あれ、またこれか、みたいな。
つまり、それが社会の流行(はやり)なのでしょう。
撒かれたエサに食いついてる人が多いということでしょう。
2〜3年前だったかな、自費出版の是非についてのご相談が続いたことがありました。
書くことを人生の目標としたい、できれば書くことで喰っていきたい、その第一歩としての自費出版だ、と。
で、書かれているものは何かというと、「ポエム」でした。
ええ、ものの見事にどのご相談も同じでした。
現状に不満がある(ぶっちゃけ離婚したい)
↓
でも、経済力がないから別れられない
↓
経済力を身につけたい
↓
そういえば私は書くことがスキだ
↓
書くことで食べていければ
↓
ブログにポエムを発表
↓
自費出版会社がくいつく
↓
私が本を出せる!
↓
でも、お金がかかる
↓
どうしよう(この段階でご相談に来られます)
自費出版からブレイクする例がゼロなわけではないですが、出版会社は本を売ったお金で儲けるのではなく、自費出版契約をとりつけることで儲けることがメインですから、出版したあと売れようが売れまいが関係ないんですよね。
でも、出版させないといけないから、それはそれは甘い言葉をささやいてきます。
資格取得にかかる費用が、取得後の収入に直結するものほど高いです。
それと同じで(同じなのか?)、出版さえさせてしまえばシマイ、と思ってる会社ほど出版費用は安いですよね。
絶妙の価格設定、ちょっと無理をすれば払えない額じゃないってとこ。
自費出版会社が増えていた時期だったのでしょう、で目についたブログに片っ端から声をかけていた、って感じだったのかな。
ひっかかったのは、どれも「ポエム」だったってとこ。
ポエムってなんだよ、ポエムって。
ポエム(笑)
このニュアンス、わかっていただけるかしら。
スイーツ(笑)と同じく。
うまく説明できません。
(笑)の意味するところがピンとこないという方は、これ以上先に読み進められないことをおすすめします。
ポエムの類似品として、相田みつをとか片岡鶴太郎とか。
私が絶大なる信頼を寄せている書き手です。
↓
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復興構想会議の提言について書かれたものの一部。
ポエムか?
私は、この部分を読んだ時、正直な話、ちょっと笑った。
『しかし、パンドラの箱には、たったひとつ誤ってしまわれていたものがあった。それは何か。「希望」であった。』
のところのお約束の倒置表現は、NHKの「プロジェクトX」の田口トモロウの声で再生された。
中略
ある種のポエムは、書き手が何かを隠蔽したいと考えている時に立ち現れる。
書きにくいことを書かねばならない時や、書くべきことを書かずに済ませようとする時、
散文は、詩の似姿をとることで、その場をしのぎにかかるのだ。
これを読んでですね、膝の皿を割る勢いになってしまったのですよ!
自費出版に悩んでいる方がみなポエマーだということが不思議でしてね。
なんで詩や俳句や短歌や小説じゃないんだろ、なんでポエムなんだろ。
で、自費出版ポエマーに共通するものがもいっこ。
私の詩で読む人に元気を与えたい、と口を揃えておっしゃるのですよ!
すげーな、おいっ
なに、その自分の作品への絶大なる自信!!
人のために、となれない事が悩みだった私、違和感のスイッチ押されちゃったんですよねー。
で、違和感もいっこ。
水嶋ヒロが小説で賞とったとき、朝のワイドショーでロバート・キャンベルさんが
「人のために、って小説を書ける水嶋さんはエラい。今の日本で人のために、って小説書く人なんて水嶋さんだけだよ」
みたいなコメントして、そこにも私は首をかしげてしまったのでした。
小説家って、人のために、って思って小説書いてるのかなー?
小説家なんて、自己表現のエゴの塊みたいな生き物でしょ?
村上龍が、読んだ人が幸せを感じられるように、なって思って書いてるなんて考えられないよっ。
このことを、書くことを表現の手段とされてる方に訴えましたところ、
表現の動機が人のためだなんてあり得ないよ、との力強いお言葉をいただきました。
ロバート・キャンベルさん好きだったのだけど、ちょっと評価さがりました。
ちょっと長いけど、また小田嶋氏の引用です。
格闘技のイベントでも、リングアナウンサーの語りはいつしかポエムになる。
「孤独な求道者の鉄の意思とぉー、血に飢えたプレデターの魂がぁー、いまぁーリングに連なる獣道でひとつになったぁーーー。
宿命と呼ぶにはあまりにもうつくしいー、バーリトゥードの旋律がぁ、いまぁー幕を切って落とされたぁああああ」
こういう時、「旋律に幕なんてあるか?」と突っ込む奴はいない。
ポエムは、殺伐とした空気を撹拌するための風だ。意味なんか要らない。むしろ、意味は有害。
リングサイドの男たちは、あまりにも興奮していて、ポエム以外の日本語が理解できない。
それだけのことなのだ。
詩や俳句や短歌にはルールもあるしテクニックも必要です。技術が必要です。
でも、ポエムにはそれがいりません。書いたらポエム。なので創作への敷居が低いのでしょうね。
経済力につながるスキルが無い、結婚生活に鬱屈している方が出口を求めるのが、これまたスキルが必要とされないポエム。
これぞ、スイーツ!
甘い、甘すぎるよ!!
ここではないどこか、を求める方が多く口にされる「なにか、人のためになることがしたい」。
誰かのためになれてるってステキですよね〜、うっとりしちゃいますよね〜、
ありがとうって言ってもらえる、自分の存在を認めてもらえる。
低い自己評価をあげるに実にてっとり早い道ですよね、人のために、って大義名分は。
読んでませんけど水嶋ヒロ、ボロカスしか言われてない作品が「人のため」を目指して書かれたものだってことはなんと象徴的な。
某P整体院の院長さんに、整体師を目指してやってきて続かない人、むいてない人っていますか?とお尋ねしたところ、人のためになりたい、人を癒したい、って動機で入ってくる人は続かないなあ、現実の厳しさに対応する力がない、というような回答をいただいたような記憶が(勝手に書いて、スイマセン、スイマセン。
そ、人のために、ってのはスイーツの象徴なわけですよ。
スイーツ・ポエム