02)病名確定〜溺れる者は藁をも掴む

これまでにも何回か書いたネタですが、私の最大のラッキーは病名を診断したドクターがヘッポコだったことです。

左爪先に違和感を感じてから左半身全部が麻痺するまでほぼ半日、今だったら脳梗塞とか疑って救急車を呼んでそうなもんですが、頭がやられてるんだろうなと思いながらほったらかしにしていた自分が恐ろしい。

最初に行った病院のCT検査では原因がわからず、入院して検査しないといけないと言われました。そんなことしてらんない、と言ったら神戸大学医学部への紹介状を渡されました。診察の予約が取れたのが1ヶ月後、その間左半身は麻痺したまんまで日常生活にかなり支障をきたしてオリましたが普通に会社に行ってました。

神戸大学医学部第3内科(神経内科)、待合室に集う患者さんの光景が怖かった。私ってばこの人たちと同じフィールドなの?と。そんなに怖い病気なの?と。いったいどうなっちゃうの?と。

紹介状をくれた病院では入院しないと出来ないと言われた髄液検査(怖くて泣いた!)をその場でやって、検査の帰りに会社に戻って背中の痛みを堪えながら仕事をしていた自分が恐ろしい。次の予約はまた1ヶ月後、それまでにMRIの検査をまた他の病院で受けさせられました。

さて、1ヶ月後、髄液検査の結果とMRIの画像から下された診断は多発性硬化症

脊髄の中の神経がちょっと炎症起こしとんねん、で、その神経が司っとるとこの脳がダメージ受けて麻痺すんねん、薬飲んだら治るわ、ちょっと太るけどな。

ドクターからの説明はこれだけでした。

そっか、薬飲んだら治るのか、よかった、よかった、とホッとして(無い)胸をなでおろしたのですが。

が。

2日で4キロ太ってしまって、体調も極悪だったし、これはもうやってらんないわ、と勝手に薬をやめて病院にももう行きませんでした。マジメな患者だったら病院にちゃんと泣きつきにいくところなんでしょうけどね。それをする気にならなかったのは、病気の深刻さがわかっていなかったのと、ドクターに対してまったく、まーっっったく信頼がおけてなかったからです。病気の深刻さがわかってなかったのは、もちろんドクターからしっかりとした説明がなかったからです。今だったらネットで調べるとかするんでしょうけど。

麻痺は少しずつ治まってきました(緩解というやつですね)。風邪かなんかで近所の診療所を受診し、実はこれこれこんなことになってましてん、と言いましたら、何やってんですか、とどえらく怒られまして。

今は麻痺がたまたま足とか手だからいいけど、それが心臓にきたら心臓とまるし、肺にきたら呼吸できなくなるんですよ、あなた、たまたまその程度で収まっててラッキーなんですよ、と。

そこでようやく病気の深刻さが感じられました。神大医学部ちゃんと通ってください、ときつくきつく言い渡されたのでさすがの私も(どう、さすが?)また神大に予約を入れました。受診前にもっかいMRIをやってこいとの指示で、撮って貰った写真もって行ったんですが。

が。

そこで大ショック。前回は麻痺を引き起こしているダメージの箇所が白く何カ所か点在していただけだったのですが、今回は脳の半分が全部真っ白になっていたのです。ドクターも、あんたよう普通に生活しとるなあ、と驚いていました。どの時点でそうなったのかはわかりませんが、この状態にいたるまでの間が麻痺がひどかった期間なんですかね。

薬をやめたことも診察に来なかったことも別に怒られませんでした。薬のんでしんどいんやったら入院せなあかんなー、と。

そこにですね、ドクターに外線電話、かかってきた電話は週末に出席する結婚式の打ち合せでした。患者をほったらかして診察室でプライベートな会話を電話で延々としている様にどうやってこの人を信頼しろというのか。

もうこいつはええわ、と思いつつも、真っ白脳みそ画像のショックは大きく、ベソベソと泣きながら帰ったのでありました。

続く。

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