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空気を読めないのはなぜ?(過去記事再掲)

初出:2016/09/21
みなさんご存知のように(知らんか)私は業病”気が効かない”を治すためにホテルバイトをしています。お賃金をもらいながら治療ができるなんてありがたいこと!
治療はハードです。効いていない気を効かせるようになるためには、錆び付いていたものを動かせるためのリハビリが必要です。リハビリというのは楽ではないのですよ。痛みを伴うものなのです。

コーヒーマシン

レストランの一角にコーヒーマシンがあります。豆をその場で挽いて1杯ずつコーヒーをたてるタイプのやつです。

ちょっと年配の女性のお客さまが来られました。コーヒーマシンの使い方がわからないようです。傍に寄って押すべきボタンを押してコーヒーをいれさせていただきました。
もうひとり、先ほどのお客様のお連れの方が来られました。似通った年恰好の女性です。やはりコーヒーマシンの前でとまどっていらっしゃいました。
お2人は同じ間違いをされていたのです。使い方がわからない方、違うボタンを押しちゃう方、いろいろいらっしゃるのですが、この2人が同じ間違いをされたことがとても印象に残りました。
なんでだろ、なんでこの2人は同じ間違いしたんだろ。
お2人、似たような年齢です(同級生かもね)、同じような身長です、同じような姿勢です(ちょっと前かがみのね)。

お2人はですね、マシンの下のほうしか見てないのです、上の押すべき正しいボタンは目に入ってないのです。マシンの全体像が目に入っていれば、押すべき正しいボタンはどれであるか、判断できるはずなのです。
マシンは多分、使う人がマシンの全体を見ることを前提として作られているのでしょう。マシンの一部しか目に入らない人のことは想定されていないのです。

オペレーション・マニュアル

みなさんご存(ry)、私は会社員時代ヘッポコSEでした。システムをひとつ作り上げる際には、そのシステムのオペレーションマニュアルを作る、という作業もあります。取り扱い説明書ですね。
これを読んだら「使い方がわからない、なんて絶対に言わせないぞ!」という意気込みで作ります。
システム完成、納品します。後日、施主さんから質問がやってきます。それ、マニュアルに書いてますやん、と思います。
が。
ここでも想定外の発言が。
「あ、マニュアル読んでなかったわ」
読んでないのです、見てないのです、どんなに完璧と思えるマニュアルを作っても、読まれなかったら用をなさないないのです。
「読む」時って何を使います?目で見ますよね?「読む」時って見てるんですよ。視界に入ったものによっていろんな判断をしてるんですよ。
じゃあ空気を「読む」って空気を見てるってこと?空気を見て何がわかりますか?残念ながら、私の目では空気を見ることはできません。

「空気」という単語が頻出です。


作者の西城さんの育った環境というのは、空気を読むスキルが必須だったのでしょうね。
なんのために?
おとうさんを暴れさせないために。
そして、西城さんが読んでいたもの、見ていたものは空気ではありません。おとうさんの顔です、顔色です。
顔色をうかがう ≒ 空気を読む ではないでしょうか。
空気を読む、なんて見えないものを読むことを強いられるからなんか特別なことのように思っちゃいますけど、要は人の顔を見てるかどうか、ってことです。
なぜ顔色をうかがう必要があるのか。
その人の機嫌を損ねることが怖いからですよね。ご機嫌を損ねた人が場の「空気」を乱すことを避けたいからですよね。
では、空気を読まない人(読めない、ではない)がいるのはなぜか

おとうさんが空気を読まないのは、怖くないからです。自分の言動で他者が機嫌を損ねても、怖くないからです。だって自分のほうが強いから。
顔色をうかがう、空気を読む、とは弱者が己の身を守るために必要なスキルです。他者をねじ伏せる力がある人は、顔色うかがう必要はないのです。
では、顔色をうかがえない人、空気を読めないとはどういうことか。
それは他者がノンバーバルに発している情報を受け取ることができない、理解できない、ということです。目から入ってきているはずの情報を「空気を読む」という行動へとつなげる処理ができていない、ということです。
つまり、「空気を読む」という作業には3段階ありまして
1:目から状況をインプットする
2:その状況が何を意味するのか判断する
3:その状況にふさわしい行動をとる
空気を読めていない人、どの段階で滞りが起きているのでしょうね。
視力があれば、1の段階でのトラブルはないと思います。
2の段階での問題、それが発達障害などのコミュニケーション障害だと指摘されることが多いですね。というか、2の段階でトラブる人を「発達障害」とカテゴライズすることが多いように思います。
※発達障害についてはいまだまとめきれていないので、これ以上の言及はここでは控えます
さて、3の段階。やるべきことはわかっているんだけど、それができない。もしくはやってはいけないことをやらかしてしまう。これはもう、恐怖でガチガチになっているからですよ。

私ってアホなの?


墓穴を掘る、という行動に象徴されるものですね。
さ、空気が読めない人とのジャッジを世間から受けることが多いそこのあなた、あなたの滞りは1〜3のうちどこで起きているでしょうか。2の段階ならば、見たものからより多くを得よう、と集中することで多少の改善は見られるかと思います。数をこなして学習すればいいのです。
恐怖に支配されている、というのは実は1の段階でもあることで、怖くて直視できないから、見たら判断できるはずのことができない、ってのもありがちですね。

幽霊の正体みたり、枯れ尾花
ちゃんと見れば幽霊ではない、とわかるのです。猫を見ずに猫の大きな影だけを見ていたらどんな化け物かと恐ろしく思うのです。
2の段階の人、読めない同士が集っている場では読めないことを責められることはありません。読めないことを責めるのは読めることができる人。読めない、と責められることに嫌なものを感じたら、読めない自分、と自分を責めるかもしれません(自分ではなく、自分の子ども、でも同じ)。

まとめ

空気を読むとか読まないとかは、ジャッジへの恐れ、という感情が支配しているものだと思いませんか?もちろん、ルールやエチケットやマナー的に読まなくてはいけない場もありますけど。
専門的な内容ですが↓可愛いものを登場させていますので読んでください!

詳説:4経じゃないよ、3経だよ


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