傷の正体

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痛い目にあったとしますよね。通りすがりの野良犬に噛まれたとします。

痛かったです。犬が怖くなりました、トラウマです。

私は犬に噛まれたから犬が怖くなった、とインプットされます、わかりやすいです。記憶にもあります。

しかし、ほんとに心に傷をつけていたことはこれではないかもしれません。

犬に噛まれた後、オウチに帰ったら誰もいなかった。痛いよー、犬が怖かったよー、と言いたいのに誰もいなかった。居て欲しい人が帰ってきた頃には、もう怖かったという気持ちを訴える気も失せてしまった。誰にも言えないんだ。

犬に噛まれた後、オウチに帰ったらおかあさんが居た。痛いよー、犬が怖かったよー、と言ったら、あんたがいらんことしたんちがう、と言われた。おかあさんは私が痛かったこと、怖かったことわかってくれなかった。私の気持ちわかってくれなかった。どうせわかってくれないんだ。

犬に噛まれた後、オウチに帰ったらおかあさんが居た。痛いよー、犬が怖かったよー、って言ったら、生まれたばかりの弟の世話をしながら私のほうには目もくれないで、ああ、そう、痛かったね、怖かったね、と言った。おかあさんは私にはちゃんと向きあってくれないだ、と思ってしまった。

入り口は犬に噛まれたことですが、その後で本当にダメージをうけたのは犬に噛まれたことの痛さや怖さではありません。おかあさんがちゃんと自分の痛みに向きあってくれなかったことです。向きあってもらえなかったことへの欠落感＝穴ぼこです。

犬のことで止まってしまうと、その後のことがわかりません。穴ぼこの正体が見えません。

記憶にしっかりと残っている、目に見えるわかりやすい現象ではなく、あなたの心に本当にダメージを与えてしまったもの、その正体を探りにいきましょう。そして、そのせいであなたはどうなってしまったか。それ、見つけに行きましょう。

怖くないです、一緒に行きましょう。あなたの傷の正体、探りに行きましょう。そしてすっきりしましょう。いつまでも怖がらなくていいんだよ、と。

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