↓ これの続き
(2)「しなきゃよかった」と後悔していることはなに?
赤ネコさん、トランスに入っていただいて、姿を現したのは5歳ちゃん。
図書館に弟さんと近所のミーちゃんの3人で行きました。
ちょっと怖い出来事が起こりました(小さい子供を怯えさせるに十分な出来事です)。
赤ネコさん、5歳だけど最年長なので年下の二人を必死で守りました。
認めて欲しかった気持ちは「がんばったよ」。
赤ネコさん、よく小さい二人を守ったね。
がんばったね。
さて、賢明な読者さまはお気づきでしょう、「がんばったね」と声をかけてはいけないということを。
なぜなら、認められたものが「頑張り」であるなら、頑張り続けないと認めてもらえないから。
頑張りを自分に課してしまうから。
当然、その引き換えとして「頑張っていない自分はダメ」となります。
頑張れない自分はダメ
頑張って成果を出せない自分はダメ
5歳の女の子の気持ちとしては「怖かった」と出していただきたいとこです。
赤ネコさん、「もちろん怖かったですよ!」とおっしゃるのですが、自分の気持ちよりも二人を守ることが重要だったようです。
「お姉ちゃんだから」と散々言い聞かせられたことが骨の髄まで染み込んでいらっしゃる方は珍しくないですが、赤ネコさんは役割を果たすことへの義務感が強すぎるように感じました。
自分の気持ちを出せない、言いたいことが言えないというお悩みがありました。
「怖かった」という自分の気持ちを出すことを優先できなかったことが穴ぼこのように思えますが、単に「出せない」以上のもどかしさがあるようです。
伝えたいことはそれじゃないんだ!
はい、赤ネコさんが訴えたいこと、もうひとつありました。
図書館で赤ネコさんを襲った怖い出来事、単に「守る」「怖かったという」だけでなく、どんなことが起きてどんな原因があって的確な助けを求めるにはどうすればよかったか、それを伝えることができなかったことに、たいそう無念感を抱いていらっしゃるのですよ。
注)罪悪感ではなく無念感
伝えたいことを伝えられなかった、伝わらなかったことに「どうせ伝わらない」という諦めを抱いていらっしゃいました。
多分にそれは赤ネコさんの中でビリーフ化していることでしょう。
どうせ伝わらない
↓
伝わらないんだから言わない
↓
言わないから伝わらない
このループが繰り返されていました。
いったんこのループにハマってしまうと、「言わないと伝わらないじゃないか!」と自分を鼓舞して頑張って発言しても、それは思ったように伝わらなくなってしまうのです。
だって「どうせ伝わらない」フィルターがいい仕事をしてくれるから。
赤ネコさんの「言いたいことが言えない」「伝えたいことが伝えたいように伝わらない」問題の原因を作ったのは、なんと、図書館に同行したミーちゃんでした。
ミーちゃんは起きた出来事のなんたるかがよくわかっていなかったのでしょう。
赤ネコさんが怖さをおして自分たちを守ってくれたなんて気づきもしなかったのでしょう。
ミーちゃんは起きた出来事を、自分を主人公とする大活劇として周囲の大人に触れ回ったのです。
おもしろおかしく。
そうじゃない
そうじゃないんだ
赤ネコさんの中には、きちんと事実を伝えられなかったという未完了感が山と残されてしまったのです。
怖かった、という気持ちの居場所などないですね。
続きます。
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