「連絡しないで」という息子［読売新聞人生案内］

ウ、ウチのことかと思いましたよ！

恥ずかしながらウチ、私とウチのチビが辿った経由と同じですよ！！

息子さん、母であるＸ子さんのことを、とても大事になさっていらっしゃいます。

大事にしているポイント

①母であるＸ子さんを過剰に責めていない

自分がＸ子さんを責めると、Ｘ子さんが自分を責めることがわかっているから

②Ｘ子さんと距離をとっている

息子さんの傷は癒えていません。うかつに触れてご自分が制御不能とならぬよう、必死に耐えていらっしゃいます。Ｘ子さんと連絡を取るということは傷に触れられるのと同じ。

自分を傷の痛みから守るため、傷に触れられる機会を遠ざけていらっしゃいます。

それは、Ｘ子さんを守るため。

自分の怒りでＸ子さんを攻撃しないように、Ｘ子さんが自責に陥らぬように。

ああ、なんて息子さんはＸ子さんのことを大切にしてくださっているのでしょう。

どうか息子さんのその思いを尊重してあげてください。

自分の罪悪感を埋めるために、その埋め合わせに何かしてあげなきゃなんて思う必要はありません。

Ｘ子さんも抱えきれぬことがあったから、自分より弱い立場の息子さんに感情をぶつけることとなったのでしょう。

ここで当然目を向けるべきは、夫さんとの関係です。

ワンオペ育児だったのではないか？

Ｘ子さんが自分の気持ちを後回しにせざるを得ない関係だったのではないか？

夫さんからの支えが、ひょっとするとＸ子さんが欲しかったのに貰えなかったもの、穴ぼこかもしれませんよ。

夫さんから欲しかったものを息子さんに求めてはなりません。

さらには、Ｘ子さんの小さい頃にできてしまった穴ぼこを、夫さんに求めたもののそれが得られなかったのであるなら。

欲しかった時に得られなかったもの、それは残念ながらもう手にすることはできません。

できること、やるべきことはただひとつ

欲しかったよね
欲しかったのに手に入らなくて寂しかったよね

と、自分を自分でヨシヨシすることです。

Ｘ子さんが自分の穴を自分で埋めることができたなら、息子さんは「これでもう、母の穴埋め役をしなくて済む」と安心されることでしょう。

Ｘ子さんと息子さん、双方が役割から解放され、それぞれが自分の生き方をできるようになる始まりです。

回答は最相葉月（ライター）さんです。