PACHINKO

子は生まれる際に親を選ぶことはできません。

胡散臭スピ界隈には、「子は親を選んで生まれてくる」説が根強く信じられていて、「あんたが選んだんやからしゃーないやんけ」と、なんでもかんでも我慢させる傾向にありますね。

「置かれた場所で咲きなさい」という「言い聞かせ」も広く受け入れられています。

都合がいいんですよ、我慢を強いるためにね。

我慢が実になるならいいですが、我慢させる方「我慢サセラー、もしくは我慢サセシスト」のメリットになるばかりで「我慢サセラレラー」には何のメリットにもならないことが多いように感じます。

子が生まれる前に選べないもの、いや、何なら生まれた後でも選べないもののひとつ、それが「親の職業」「家業」です。

八百屋の花子ちゃん
魚屋の太郎ちゃん

こんな感じで家業とセットにされていたりもしますね。

さて、PACHINKO屋さんにも子供は生まれます（当たり前）。

パチ屋のてっちゃん（仮称）です。

てっちゃんはパチンコ屋の二代目、お父さんは在日2世です。

お国の事情で職業どころか、住むところも選べない人が沢山いらっしゃったことでしょう。

ギャンブル依存症も広く認識されることとなり、パチンコへの風当たりもきついです。

てっちゃんも、お店を畳もうかどうしようかと悩まれて、それを解決するためにフルセッションを受けてくださいました。

最初に出てきたのは、小さい頃のお店の様子。

タチの悪いお客を追い出すために、お父さんが取っ組み合いをしていた姿が思い出されました。

時にはケガをして、血まみれになって食卓を囲んでいたことも。

自分のお父さんがてっちゃんのお父さんのお店に入り浸りで、そのためにお父さんとお母さんの喧嘩が絶えないという子がいました。

お前の店のせいで！と、てっちゃんは怒りをぶつけられます。

嫌なことばっかりだったなあ
やっぱりパチンコ屋、やめてまおうか

次に出てきたのは、お店で働いていたけんちゃんの思い出。

けんちゃんは下っ端のチンピラでした。

どこも行き場のないところ、てっちゃんのお父さんがお店に迎え入れたのです。

売り上げをくすねたりもしましたが、お父さんの心強い二の腕になってくれました。

てっちゃん、パチンコは手軽なええ遊びやで。

会社勤めのお父さんが、たまの休みに気晴らしの手慰み。

それで子供にチョコやらもって帰れるんやで。

ウチに入り浸りで、借金作る人もおったやんか

そういう遊び方をさせんように、ワシらが見張っとったらええんや

家族が「お父さん、たまの休みや、パチンコでも行ってき」って送り出してもらえるような店にしたらええんや

そう言っていたけんちゃんは、てっちゃんがお店を継いでまもなく、事故で逝ってしまいました。

家族が快く送り出してくれるパチンコ屋やて、そんなんありえへん。

所詮パチンコはギャンブルや、損する奴がおらんと店が儲かれへんやんけ。

こんな汚い商売して、と泣いてたお父さんの姿が思い出されました。

家族に肩身狭い思いさせて、と。

けんちゃんが声をかけていました、「汚くない商売しましょうよ」と。

そうか、けんちゃんはずっとそう言ってたんやな。

入り浸って家族をほったらかしにしたり、借金を作ってまでハマることのないような、そんなパチンコ屋にしようってけんちゃんはずっと頑張ってたんやな。

そこで働いていることを誇れるような、ちょっとパチンコしにいくのを家族が快く送り出してくれるような。そんな店にすることをけんちゃんは目指してたんやな。

けんちゃんが目指しとったこと、俺がやればええんか。

汚い商売じゃないパチンコ屋をやればええんか。

＊

その後、社員の家族一同でバスを借り切って慰安旅行をしたというご報告をいただきましたよ。

パチンコ業界のことはよくわかりませんが、「汚い商売」テイストを払拭することと利益を両立させるのはちょっと難航しました。

ビジュアルスクワッシュで「クリーンさ」と「利益」を統合させ、それを具体的なビジネスの方針に落とし込みました。

てっちゃんの物語、いかがでしたでしょうか。

ここには書ききれない、家業がパチンコ屋であることで嫌な思いをされていらっしゃいました。

それでも後を継ぎ、そしてこれからも続けようとされている。

何がてっちゃんの後押しをしたと思われますか？

嫌な思いに向き合った後、その下から出てきた宝石、それは家族のために身を粉にして働いていたお父さんと、そのお父さんのために尽してくれたけんちゃんでした。

もとい。

お父さんとけんちゃんの思いを無駄にしないという、てっちゃんの気持ちでした。

そのうち「ガイアの夜明け」とかでてっちゃんの顔を見ることになるんじゃないか？と密かに期待しております。

＊

というわけで！

家業というのは色々たいへんだというお話でした。

みなさんご存知のように（知らんか）私も家業で痛い目遭わされてきた人間です。

そんな私の（どんな？）家業ストーリー、未読でしたらぜひご一読を。

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